「世界通貨セレクト」では、世界中の注目通貨ペアを選び、投資の参考になる情報をまとめています。
その中でも、国どうしが隣同士の通貨ペアは、経済のつながりが強く、お互いの影響を受けやすいのが特徴です。
動きに一定の傾向が出やすく、比較的わかりやすいペアとも言えます。
この記事では「隣国通貨ペア編」として、
オーストラリアドル/ニュージーランドドル(AUD/NZD)、ユーロ/ポンド(EUR/GBP)、米ドル/カナダドル(USD/CAD)、ノルウェー/スウェーデン(NOK/SEK)について、
それぞれの特徴や値動きのポイントをわかりやすく紹介します。
隣国通貨ペアの特徴
隣国通貨ペアとは、地理的に隣接する国の通貨同士のペアを指します。
経済的な結びつきの強さや安定した値動きがあることから、自動売買にも人気のあるペアです。
これらの通貨ペアには、以下のような特徴があります。
- 経済や貿易の結びつきが強い
- 値動きが比較的安定しやすい
- リスク管理がしやすい
経済や貿易の結びつきが強い
隣国どうしは商品の輸出入や投資が活発で、経済活動が密接に連動しているため、通貨の動きも互いに影響を及ぼし合いやすい傾向があります。
値動きが比較的安定しやすい
経済環境や政策が似通っているため、急激な変動が少なく、一定のトレンドやパターンが見られやすいのです。
リスク管理がしやすい
政治的なイベントや国際情勢の変化によって一時的に大きな変動が起きることもありますが、全体的には動きが読みやすいため、自動売買やシステムトレードなどの戦略にも適しています。
このあとは、こうした隣国通貨ペアの特徴を踏まえ、代表的な通貨ペアごとの動きや取引ポイントを詳しく解説していきます。
各通貨ペアの特徴
隣国通貨ペアそれぞれの経済的背景や値動きの傾向、取引におけるポイントを詳しく解説していきます。
オーストラリアドル/ニュージーランドドル(AUD/NZD)
隣国通貨ペアの代表格ともいえるAUD/NZDは、安定性と予測しやすさから、自動売買でも人気のある通貨ペアです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
経済や貿易の結びつき
オーストラリアとニュージーランドは、地理的に近いだけでなく、歴史的・経済的にも深い関係があります。
双方とも資源国であり、共通する産業(農業・酪農・鉱業など)を背景に、互いにとって重要な貿易相手国となっています。
また、経済成長の動向や中央銀行(RBAとRBNZ)の金融政策が似た動きを見せることも多く、通貨の動きに一定の連動性が見られるのが特徴です。
このような経済の結びつきにより、AUD/NZDは比較的読みやすい通貨ペアとされており、自動売買でも戦略を立てやすい傾向があります。
値動きについて
AUD/NZDは、隣国通貨ペアの中でも特に値動きが比較的安定していることで知られています。
その背景には、両国の経済構造や金融政策が似ていることがあり、為替レートに急激なトレンドが発生しにくいという傾向があります。
また、経済指標や要人発言によるサプライズも比較的少ないため、過去のチャートパターンや相場レンジが意識されやすく、自動売買との相性が良い点も魅力です。
ただし、金利差が大きく開いたときや、豪州とNZで政策の方向性にずれが生じた場合には、一時的に大きく動く局面もあるため、注意が必要です。
▼AUD/NZDの過去のレンジ

リスク管理のしやすさ
AUD/NZDは、両国の経済や政策が似通っているため、相場の急激な変動が比較的少ないというメリットがあります。
これにより、ポジションの保有中に突発的な値動きに振り回されにくく、リスクを抑えながら安定的に運用することが可能です。
また、豪州とNZはいずれも政治的な安定性が高く、大きな地政学リスクに直面する場面が少ないため、中長期での自動売買戦略にも適しています。
ただし、農産物や資源価格の影響を受けやすいという共通点があるため、外部要因によって短期的に連れ安・連れ高になる可能性もある点は念頭に置いておきましょう。
ユーロ/ポンド(EUR/GBP)
ヨーロッパの主要経済圏であるユーロ圏とイギリスの間には、地理的にも経済的にも強い結びつきがあります。
ブレグジット(イギリスのEU離脱)以降も依存関係は続いており、EUR/GBPは注目される隣国通貨ペアの一つです。
経済や貿易の結びつき
イギリスとユーロ圏(特にドイツやフランス)は、地理的にも経済的にも非常に強い結びつきを持っています。
ブレグジット以前は、イギリスはEU加盟国として自由な貿易や資本移動の恩恵を受けており、多くの輸出入がEU圏内で行われていました。
EU離脱によって貿易協定や関税ルールが変わり、物流や手続きの面では複雑さが増しましたが、それでも相互の経済的依存は続いています。
たとえば、イギリスの輸出先として今もEUが大きな割合を占めており、ユーロ圏の景気や政策がポンドに与える影響も小さくありません。
また、金融市場の観点でも、ロンドンはEU圏外となった今でもヨーロッパ金融の中心地の1つとして機能しており、ユーロとポンドはグローバルに活発に取引される主要通貨です。
このように、政治的には離れても経済・貿易面では依然として強い関係があることが、EUR/GBPの動きにも反映されやすいと言えます。
値動きの特徴
EUR/GBPは、変動幅が小さく、安定した値動きが特徴の通貨ペアです。ユーロ圏とイギリスの経済が似た動きをするため、レンジ相場になりやすく、テクニカル分析が有効な場面が多いです。
一方で、政策の方向性がずれたり、ブレグジット関連のニュースが出た時には一気に動くこともあります。
そのため、通常は安定運用向きですが、イベント時の急変動には注意が必要です。
▼EUR/GBPの過去のレンジ

リスク管理のしやすさ
EUR/GBPは、ボラティリティが比較的低く、急激な変動が少ないため、リスク管理がしやすい通貨ペアです。
ただし、ブレグジット関連の発言や金融政策の違いが浮き彫りになる場面では大きく動く可能性があります。
そのため、経済指標や要人発言のスケジュールを把握しておくことが安定運用のカギとなります。
米ドル/カナダドル(USD/CAD)
アメリカとカナダは世界有数の貿易相手国であり、経済面で強い結びつきを持つ隣国通貨ペアです。
ここではUSD/CADの特徴について詳しく見ていきましょう。
経済や貿易の結びつき
米国とカナダは世界で最も貿易が盛んな隣国同士です。
両国間の輸出入は非常に活発で、特にエネルギー資源や自動車産業などの分野で強い結びつきがあります。
そのため、経済指標や政策動向が相互に影響し合い、通貨の動きも密接に連動しています。
値動きの特徴
USD/CADは、エネルギー資源の価格変動に大きく影響を受ける通貨ペアです。
特に原油価格の動きと連動しやすく、原油価格が上がるとカナダドルが強くなりやすい傾向があります。
また、米国とカナダの経済指標や金融政策の違いによって、比較的明確なトレンドが出やすいのも特徴です。
そのため、エネルギー市場の動向を把握することが、USD/CADの値動きを理解する上で重要です。
▼USD/CADの過去のレンジ

リスク管理のしやすさ
USD/CADは原油価格に大きく左右されるため、価格変動リスクが高まる時期を見極めることが重要です。
また、経済指標の発表時には急激な値動きが起こりやすいため、取引通貨数の調整や損切りラインの設定でリスクを抑える工夫が必要です。
このような対策を行うことで、安定した自動売買運用が期待できます。
ノルウェー/スウェーデン(NOK/SEK)
NOK/SEKは北欧を代表する隣国通貨ペアで、両国の経済や政策の違いが為替の動きに影響を与えています。
ここでは、NOK/SEKの主な特徴を詳しく解説していきます。
経済や貿易の結びつき
ノルウェーとスウェーデンは北欧の隣国であり、地理的・経済的に深く結びついています。
両国はEU加盟国としては異なり(ノルウェーは非加盟)、政策の違いもありますが、北欧経済圏としての協力関係や貿易が活発です。
特に、エネルギー資源(ノルウェーの石油・天然ガス)と製造業(スウェーデンの自動車や機械)が経済を支えています。
そのため、経済指標や政策が相互に影響し合い、通貨の動きにも連動性が見られます。
値動きの特徴
NOK/SEKは、両国の経済構造や政策の違いから、比較的変動がある通貨ペアです。
ノルウェーは石油・天然ガスといったエネルギー資源が経済の柱である一方、スウェーデンは製造業や技術産業が強く、経済指標や政策発表によって為替の動きが左右されやすい傾向があります。
また、北欧全体の景気動向や欧州経済の影響も受けやすく、時には急な変動が見られることもあります。
そのため、NOK/SEKは他の隣国通貨ペアに比べて、ややボラティリティが高く、自動売買にも適したペアと言えます。
▼NOK/SEKの過去のレンジ

リスク管理のしやすさ
NOK/SEKは比較的ボラティリティが高いため、値動きの急変に備えたリスク管理が重要です。
両国の経済指標や政策発表、特にノルウェーのエネルギー関連のニュースには敏感に反応します。
そのため、損切り設定や取引通貨数の調整をしっかり行うことで、安定した自動売買運用が期待できます。
まとめ
隣国通貨ペアは、地理的・経済的なつながりが強いため、比較的安定した値動きや一定のパターンが見られやすいのが特徴です。
特に今回紹介したAUD/NZD、EUR/GBP、USD/CAD、NOK/SEKは、経済や貿易の結びつきが強く、相関性が高いため、自動売買でも扱いやすい通貨ペアとして注目されています。
ただし、政治的イベントやエネルギー価格の変動など、突発的な要因には注意が必要です。
それぞれの通貨ペアの特徴を理解し、適切なリスク管理を行うことで、より安定した運用を目指しましょう。